Cobalt's Movie Log

映画鑑賞の感想など

映画「アイネクライネナハトムジーク」を鑑賞

f:id:toshihiko-w:20191107211418j:plain


会社帰りに映画「アイネクライネナハトムジーク」を観に行きました。公開はだいぶ前でしたが、まだ上映しているところがあったのです。伊坂幸太郎氏の原作が面白くて映画も観たくなったのというのと、出演している多部未華子さんが好きな女優であるというのが観に行った理由です。

 

そういえば多部未華子さんは最近結婚されましたね。おめでとうございます。これからもっと深みのあるいい女優さんになりそうな気がします。

 

原作を読んでいましたので、ストーリーを追ってワクワクするということはありませんでした。役者さんの演技やカメラワークなど、映画の作品としての完成度を確認する感じになってしまいました。

 

先日にタイミングよく、NetFlixで「君に届け」という10年近く前の多部未華子さんと三浦春馬君が共演する青春映画を見たばかりでしたので、ちょうど二人の10年後を見ているようで、興味深いものがありました。二人とも若い時から演技がものすごく上手な役者さんですが、今回の映画では三浦春馬君はややあざとい感じがしました。自分の表情が、どういう風に見られるかを意識した演技をしているような気がしたのです。

 

三浦春馬君はものすごく才能のある役者さんだと思います。特に表情を作るのがものすごく上手だと思います。どんなシーンにおいても、相手役が喋っているシーンでも、表情がいろいろ繊細に変わるので、登場人物の持っている気持ちやその場の状況が、彼の演技で観客にわかりやすく伝わるのです。表現の引き出しがすごく多いので見ていて飽きません。ここまで役をわかりやすくいろいろな表現のできる役者さんは多くありません。だからあざとい感じがするのでしょうか。

 

あまりにも素晴らしい演技をするので、彼を見ていると、役者は表情やセリフの言い方によって、観客の感情や思考をコントロールする仕事なんだな、とあらためて認識しました。

 

人というのは、相手の表情によってその感情を把握する生き物です。小さい頃から、大人の表情を見てずっと勉強してきているのです。そして逆にいうと自分の表情をうまくコントロールできる人は、言葉にしなくても自分の考えや感情を相手に意図的に伝えることが可能だということです。

 

例えば、好きでもないのに好きであるかのように思わせたり、腹黒いのに信用できる人間であるかのように思わせたり。世の中にはそういう技術を悪用している人もいますよね。人間の表情から感情を読むという癖を逆手に取るわけです。能力の高い詐欺師は、その才能があります。そして正しい職業でその能力をで発揮しているのが役者だと思います。役者さんの演技を注目して見ていると、そんなことを考えてしまいました。 

 

追伸:

 

2020年7月18日

 

三浦春馬君の訃報を知りました。

 

とても才能のある若者だったのに。ものすごく残念です。彼の演技が私は好きでした。

 

亡くなってから数日間、ぼーっとしていると彼のことを時々考えてしまいます。本当に真面目であったが故に、自分自身を追い詰めてしまったのでしょう。純粋な心がどれだけ深い絶望で満たされてしまったのでしょうか。

 

世の中の大多数の人のように、もっと我儘でも、適当でも、いい加減でもいいから、彼には生きて欲しかった。人生をまだまだ楽しんで欲しかった。

 

次に生まれ変わったら、楽しいことがたくさんありますように。

 

彼のご冥福を心から祈ります。