Cobalt's Movie Log

映画鑑賞の感想など

映画「アナザーラウンド」を鑑賞

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マッツミケルセン主演の「アナザーラウンド」をネットで鑑賞しました。映画館で観たかったのですが、予定があわず見逃していた映画です。

 

映画を簡単に説明すると、デンマークで教師をしている中年高校教師が、アルコール摂取によって活気が出るという学説を、仲間たちと実証しようと飲酒をすることで、仕事や生活で変化が起きるというお話です。

 

デンマーク語の映画です。日本は飲酒に寛容な国だと思ってましたが、デンマークはもっとすごいというか、次元が違うことを知りました。高校生が飲酒することが社会的に容認されていているんですよね。卒業式は夜中まで騒ぎまくって大変みたいです。

 

主人公たちは高校教師のくせに、仕事中に酒を飲みます。日本で仕事中に酒を飲んだりしたら、もちろん懲戒免職ですよ。お酒に寛容なお国柄ならではの設定でした。

 

ストーリーは、アルコールによる活性化実験は、最初は上手くいきます。授業が面白くなって、生徒も喜び充実します。うまくいってなかった妻との関係も改善します。しかし飲酒量が増えていくにしたがって、弊害や問題が起こるようになります。主人公の奥さんは家を出て、仲間の一人が死んでしまうという悲劇を迎えます。

 

と書くと、アルコールはよくないから、禁酒しようという社会的なメッセージ映画のようですが、そうではありません。禁酒映画ではなく、人間賛歌の映画になってます。それは、アルコールが引き起こす変化を通じて描いているのは、市井に生きる人々の、人生の迷いや躓き、人間関係の中での幸福など、そういうものを丁寧に描いているからです。

 

脚本と監督の演出がやはり良いですね。私は現在アルコールをほとんど飲んでいませんが、学生時代からお酒はよく飲んでいましたので、映画の酔っ払いたちにはとても共感しました。メリットと、デメリットについてもすごく納得できる描写でした。それからマッツミケルセンという人間的魅力のある役者の貢献度が高いです。アカデミー賞(外国映画賞)をとったというのも納得です。

 

しかしマッツミケルセンという役者は不思議な存在感を持った役者です。オジサンではありますが、知性と色気と悲しさなどが、にじみ出てくるんですよね。こういう年の取り方をしたいなあ、という私の目標としている人の一人です。酒のみの中年男性にはお薦めの映画です。