公開からだいぶ経ちましたが、岡田准一主演の映画「ザ・ファブル」を観てきました。
観るべき映画がないなあ、と思って適当に選びましたが、なかなかいい映画でした。
まず観ての感想は、岡田准一はいい役者である、ということ。いまさら私が言うのもなんですけど。
最近ドラマの白い巨塔で、医者の財前五郎を演じてましたが、岡田准一はジークンドーの資格を持つほどの肉体派俳優です。「ザ・ファブル」の主人公は、凄腕の殺し屋という設定なので、岡田准一の身体能力が遺憾無く発揮されてました。
しかし彼の演技のすごいところは、アクションだけではありません。すごい殺し屋だけど三枚目という役を絶妙に演じていたこと。もともとの低身長にガニマタをつけくわえて、二枚目なのに二枚目に見えないように演じていました。うまいなあ、関西人だからそういう素養がDNAにあるのかもしれませんね。演技に感心しきりです。
さすが岡田准一という映画ではありますが、映画としての面白さは主役だけではなく、脇役も大事です。この映画は、脇役陣もしっかりした役者ばかりで、観客の観る楽しさを損なうことなく確かな演技で盛り上げていました。特に演技が光っていたのは、偽の妹役を演じた木村文乃と、敵方のヤクザを演じた柳楽優弥。
木村文乃は、女性として魅力的な役柄を演じていました。男性が癒される女性とは、母性を持った優しい女性というよりも、生き生きとしている女性ではないかと思いますが、そういうキャラクターを可愛いらしく演じてました。
主人公を引き立てるキャラ設定は原作者の妙かもしれませんが、映画の中でもいい存在感でしたね。
この人も女優歴長くて、ほんと演技がうまい。求められてる演技がよくわかって、確実に仕事をこなすプロの女優さんです。人間的な魅力が備わっていない若い役者さんは薄っぺらく感じてしまうので、30歳くらいが一番脂がのってる感じがします。
柳楽優弥は狂気を感じる演技が良かったです。「誰も知らない」という映画で賞をとってから、態度でかくて干されていたようですが、最近復活しているようです。とてもいい役者さんですね。
苦労したぶんもあってか、とにかく目力ありますわ。こっち系の役をさせたら今一番かもしれません。若い時の北村一輝を彷彿とさせる存在感があります。バイオレンス系で今後も活躍しそうですが、次は繊細な役を見てみたい。
漫画原作ではありますが、監督やスタッフ、役者さんがいい仕事をしている良作の邦画を観ると嬉しい気持ちになります。成功作しか上映されない洋画と違って、邦画はたまにびっくりするような駄作もありますから。「ザ・ファブル」は安心して観れる良作映画でした。