Cobalt's Movie Log

映画鑑賞の感想など

映画「ペパーミント・キャンディー」を鑑賞

シネマート心斎橋で、「ペパーミント・キャンディー」という韓国映画を観ました。

  

以前ブログで記事にしたイ・チャンドン監督の「バーニング・劇場版」がとてもよい作品でしたので、この監督の他の作品を調べました。寡作の監督なので、作品数は少ないのですが、2000年に制作したこのペパーミント・キャンディーという映画の評価がとても高かったので、観たいと思っていました。アマゾンで安い中古のDVDを買って観ようと思って調べたら、絶版でプレミアついて1万円以上するのです。これじゃあ観れないわと思っていたところ、映画館でリマスター版の上映があるというのをネットで知って、さっそく観に行きました。

 

 

f:id:toshihiko-w:20190331180952j:plain

 

一日一回の上映にもかかわらず、今日は席が8割くらい埋まっていてびっくりしました。人気のある作品のようです。

 

人生のすべてを失って絶望した主人公が、列車の前で立ちふさがって過去へ戻りたい!と叫ぶと、数年ごとに主人公の過去の物語が遡っていくというストーリーです。主人公が何故こういう状況になってしまったのか、過去へ遡りながら、観客が主人公の人生を理解していくという構成です。ストーリーはほとんどwikipediaに書いてました。

 

主人公を演じたソル・ギョングの演技は、評判通りすごいものがありました。主人公は情緒不安定なおっさん。ビジネスで破産して自暴自棄になっています。衝動的に暴れたりする性格なのですが、最後にその理由が軍隊時代に女子高生を銃で撃ち殺してしまったことであったとわかります。そしてその事件が起こる前は性格が穏やかな青年であったのです、というオチ。

 

しかし、映画への期待値が高すぎたせいか、見終わった満足度はそれほど高くなかったです。主人公への共感や、考えさせられることはそれなりにありましたが、うーん、何か違うなと。それが何かは今よくわかっていませんが、考えが整理できたら本記事に追記しようと思います。

 

 

今日は観客がすごく多かったので、シネマート心斎橋は、映画が本当に好きな人が通う映画館だなあ、とあらためて思いました。

 

追記:


私がこの映画にあまり満足できなかった理由を考えてみました。

 

主人公が自分の苦しい感情を抑えきれずに、いつも叫んだり暴れたりしていることに違和感があったのだと思います。主人公が、軍隊時代にやってしまった自分の罪に対するやり場のない心理状態を表現する演技だと思っていましたが、よく考えて見ると、これは韓国人に共通する気質の表現なんだということに気がつきました。


もちろん全ての韓国人がそうだとは思いませんが、韓国の人は自分の感情をストレートに表に出す傾向があると思います。事故のTVニュースを見ていると、遺族が感情的になって取り乱している情景を良く見ます。対して日本人は、大災害が起こったり理不尽なことがあっても混乱がそれほど起こらず、自分の感情も抑える国民性があります。


そのせいか日本の映画やドラマの場合だと、主人公は苦しみに耐えて、苦悩を静けさの中で表現する演技が共感を得ますね。高倉健さんが、そういう演技をする役者の代表でした。韓国映画では、感情的になる演出のほうが観客の共感を得やすいのかもしれません。

 
どちらが正しいとかではありません。民族性、文化、気質が違うだけ。私は日本人なので、そのあたりの演技に共感できなかったことが、映画への没入感の壁だったと思います。

 


しかし、いろいろと考えさせられる、いい映画ではあったと思います。