Cobalt's Movie Log

映画鑑賞の感想など

映画「ザ・バニシング~消失~」を鑑賞

怖い映画を観てしまいました。

 

 

 

それは「ザ・バニシング~消失~」という映画です。キューブリックがこれは怖い!と褒め称えたオランダの映画です。

 

実はこの映画のリメイク版を昔に観たことがありました。キーファー・サザーランドとサンドラ・ブロック出演の「失踪」という映画です。「失踪」もとにかく怖い映画で、一度しか観ていないのに記憶にしっかり刻まれています。キューブリックが褒めてたのは、オリジナルの「ザ・バニシング~消失~」のほうです。オリジナル版の劇場での初公開ということで観に行きたくなりました。

 

 

ストーリーを簡単にまとめると、

 

車で旅行していた夫婦。奥さんがドライブインで突然失踪。亭主は必死で探すが、手がかりなし。3年後に犯人が接触してきて、「真相を知りたかったら俺の言うとおりにしろ」と言葉巧みに夫を精神的に追い込み、恐ろしい結末へ・・・

 

ストーリーがわかっていたので、今回は驚きは少なかったのですが、それでも冷たい恐怖を感じました。リメイクよりも先に、このオリジナル版を観ていたら、もっと怖かったと思います。

 

映画のレビューサイトでは、リメイクの「失踪」はオリジナルのエンディングを変えて台無し、と書いてありました。たぶんオリジナル版はこう終わるのだろうな、と予想して観たら、やはりその通りでした。

 

なぜこの映画が観客を怖がらせるのか、その心理的効果を分析してみました。

 

主人公は奥さんと旅行中にちょっとしたことで喧嘩して仲直りします。ああこういうことあるよな、と観客は微笑ましく思います。それが異常犯罪者の犠牲になり奥さんが行方不明になってしまいます。観客は映画の中で犯人が誰かわかっていますが、奥さんがどうなったのか、描写がありません。観客にも全くわからない。映画の中では、主人公が必死で奥さんを探します。「彼女はどうなったんだろう」と主人公は考え続けますが、観客も同じようにモヤモヤしながら、映画を観るのです。その状態が続くと、観客は主人公にだんだんと感情移入していきます。そして不敵に接触してくる犯人に、主人公と同じように憤りを感じ、感情移入が最大になったところで、ラストシーン。主人公が陥った状況に対し、自分がそうなったかのように戦慄するのです。

 

観客の心理を操る巧妙な構成になっています。視覚的効果で怖がらせるよりもこういう作品のほうが良いと思いました。