Cobalt's Movie Log

映画鑑賞の感想など

映画「TENET」を鑑賞

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もう観てからかなり経ったのですが、難しい映画だったので、しばらく記事に出来ませんでした。

 

最初観たときに意味がよくわからなかったので、結局二回観に行きました。

 

感想としては、かなり画期的なSF映画であると思います。

 

監督はスパイ映画として観てください、と言ってるそうですが、難しい理屈っぽい映画といわれると興行的にまずいので、何も考えずに観れるよ、と言ってるのでしょう。しかしむつかしいSF映画というのは間違いありません。

 

私が画期的と思えるポイントは、文章で表現できないSFを映像化したというところだと思います。

 

SF映画はだいたい小説が原作です。文章によって読む人の空想を膨らませるのがSF小説。特撮やCGの技術があまりなかった頃は、SF小説を映画で映像化するというのが、映画人の挑戦になってました。「映像化は無理だといわれた小説を見事に映像化」することで、話題性になり、人々の関心を集めるというパターンが、過去にずっと繰り返されてきました。

 

しかしこの映画は、小説ではなく映像が先です。そしてこの映画を文章化するのはとても難しいと思います。この映画の主題である、過去へ戻るタイムトラベルが、映像の逆回しのようにエントロピーの逆回転になっているというのは、確かに映像で表現するのが最もわかりやすく、文章でどうやったら表現できるのか、難しそうです。しかも本人同士が格闘するなんて、これを文章化できるでしょうか?もし小説版ができたら読んでみたいです。

 

ノーラン監督は、誰も観たことのない映像をつくりたい、という動機で考えたストーリーと映像であると思うのですが、結果的に表現手段として、映画ではじめて小説の表現範囲を超えることができた、文化史的に画期的な作品だといえるかもしれません。

 

しかし残念なことに、二度目に観た時は、正直一度目よりも少し退屈してしまいました。革命的ではあるが、やや頭でっかちの作品になってしまったかもしれません。